元旦の夜、ヴィム・ベンダースの『PERFECT DAYS』を観に行きました。
先に観た大きなゲッシさんが大興奮していて、ずっと「ピピは絶対に観たほうがいい。オレも2回目行きたいから行こう」と繰り返していて、つい1月1日から映画館へ。
で、もう最高でした。
ネタバレしないように抽象的な表現になりますが、PERFECT DAYSという映画はとても浸透圧が高いです。
主人公・平山が過ごす時間や見ている風景、感じる空気の濃度が、スクリーンという膜を通じてジワジワと観ている側に移ってきて、自分との境目が曖昧になる。
その日の夢は完全にPERFECT DAYSで、そして今だにPERFECT DAYSから戻って来ることができていません。
また仕事中の主人公の追う視点が、FPS(ファーストパーソンシューティング)を想起させるカメラワークで、ゲーム好きとしては「え!ここ平山の頭を撃ち抜くとこ?」とドキドキしてしまいました。不穏なカメラワーク。
そして人々は皆、迷子。たいていの登場人物が道に迷って自分の立っている場所にとまどっている。わたしも映画が始まってからこちら、ずっとPERFECT DAYSの中を迷子ちうです。
というわけで、わたしもうわ言のようにずっとPERFECT DAYS、PERFECT DAYS言い続け、2日、クルマで渋谷区のPERFECT DAYSの聖地である「THE TOKYO TOILET」巡りをしてきました。
最初は自転車で回ろうと約束していたのですが、空模様が怪しかったのでクルマで行くことになりました。
いきなりショボーン。
でも、主人公はクルマで回っていたので、中から見える風景や停車する場所も含めて映画を反芻でき、クルマのほうが聖地巡りらしくていいね、という結論に♪
著名な建築家、デザイナーたちが手がけた17個のオシャレで綺麗なトイレ。
一番、暗くて隠したくなる公共トイレをその地のアイコンのごとく美しく明るく華やかに仕上げるというアイディアが素晴らしいです。
そしてその風景の中ににある、ということを考えられたそれぞれのデザインがどれも素晴らしくて、とても楽しいツアーでした。
「ほかにも聖地巡りしている人いるかな?」と言っていたのですが、たくさんいました(笑)うちのように家族で来ている人、友達と来ている人、ひとりで来ている人。
公園の中にあるトイレには、海外から来られている5人ほどの方々がトイレを激写していました。誰にでも話しかけちゃう大きなゲッシさんがペラペーラと話しかけ、聞けばお正月のコンサートのために中欧から来た楽団の方たちでヴィム・ベンダース大好きだなどと話をしていました。すごいなw
トイレの上についたひさしのようなものの、さらに上についた四角いエメラルドのような物体が好き。
わたしはLeicaQ、大きなゲッシさんは一眼デジで写真を撮っていたのですが、カメラの違いもさることながら、あとでお互いがFacebookにアップしてみると、まるで目線が違っていて面白かったです。
LeicaQは単焦点なのでいろいろと制限はありますが、最初の一眼デジ・*istDの時にずっと50mm単焦点レンズだけを使って花ちゃんを撮り続けていたせいか、はたまた外ではいつもLeicaQを使っているせいか、ほぼ自分の視点の一部のように使うことができるようになっているのに気づきました。なんだか嬉しい。
そんなわけで、聖地巡り、最高でした!次は夜のTHE TOKYO TOILET巡りに行こう!